クラウドの相互接続が必要な 3 つの理由
- Cloud networking
- 2022年6月20日
ビジネスが時代遅れにならないようにするには、複数のクラウド プロバイダーがいるというだけでは不十分です。ここでは、次のステップとしてクラウドの相互接続を行うべき理由を解説します。
Megaport ブログに、次のような報告があります。「Gartner は、企業のダウンタイムの平均コストは 1 分あたり 5,600 米ドルにも上ると推定しています」マルチクラウド環境で作業する場合、このコストは倍増する一方です。ダウンタイムは、レイテンシやセキュリティなどさまざまな問題によって引き起こされ、その原因となる可能性もあります。さらにビジネスの収益に影響を与えるフローオン コストが生じる場合もあります。
リモートワークの労働力、サイバー犯罪の蔓延、せっかちな顧客という時代に、クラウド全体でどのようにすればリスクを軽減し、パフォーマンスを向上させ、会社の評判を守ることができるでしょうか。最もシンプルな (かつ最善の) 方法は、クラウドをプライベートで相互接続する、つまり、クラウド間のルーティングを採用することです。
ここでは、相互接続されたマルチクラウド ネットワークを持つことで、生産性、評判、収益を向上させる 3 つの主要なメリットについて解説します。
Megaport Cloud Router (MCR) でマルチクラウド ネットワークをプライベートに相互接続する仕組みの詳細をご覧ください。
1. ネットワークのレイテンシを低減し、パフォーマンスの向上を図る
ビデオ会議の通話が途切れたり、音声が途切れたり、モバイル決済が遅れたり、ソフトウェアの更新が遅くなって「空回り」したりという、誰もが経験したことのあるイライラする状況を考えてみてください。消費者や顧客はせっかちなので、遅延が発生するとサイトから離れてしまうかもしれませんし、従業員がイライラして生産性が下がってしまうこともあります。
最新デジタル印刷物の顧客向け販促、スポーツ競技場の空席状況、電子通貨の取引、緊急対応サービスなど、企業の機能にはネットワークのレイテンシがつきものです。レイテンシは、ユーザーやシステムがデータをどれだけ速く送受信するかに影響を与え、企業の社会的認知度に影響を及ぼす可能性があります。レイテンシとは情報が伝わる時間の遅れのことで、物理学上の問題になります。ワイヤレスまたはハードウェアベースのルーターやワイヤレス接続を介して、デバイスが要求を出し入れする速度のことです。レイテンシは、ルーター間または衛星と地上間のホップ数によって増加し、パブリック インターネット上では日々送信される膨大なデータ間の「競合」によって悪化します。
相互接続されていないマルチクラウド ネットワークは、クラウド間を移動するデータがデータ センターやリモート ミッドポイントを経由する、いわゆるヘアピンを行う必要があるため、ホップ数が増加してネットワークの速度を低下させます。トラフィックの変動や冗長性の問題に影響されるパブリック インターネットの利用と組み合わせると、ビジネス全体のネットワーク パフォーマンスが損なわれてしまいます。
エンド ユーザーにとって、レイテンシの問題は、誰かにバッファリング メッセージが表示されるときに発生します。サーバーやデバイスは、データを処理するために小さなチャンクに分割し、バッファはこの「チャンク」を格納します。混雑した飛行場やスペースが限られた滑走路と同様に、データは送信されるのを「待機する」ことになります。バッファリング メッセージを見たほとんどの人は、すぐにイライラして、技術的な問題を理解したり、気にかけたりせず、他に責任を押し付けてしまいます。
帯域幅も重要ですが、レイテンシ (速度) も、ほぼ即座に満足を得たいというユーザーのニーズや、効率的な運用を求める企業のニーズをサポートする上で非常に重要です。Selectra は、次の例えを用いています。「帯域幅がパイプが運べる水の最大量に相当すると、レイテンシは水がパイプ長を移動するのにかかる時間に相当します」帯域幅が広いほど、ダウンロードやアップロードの速度が速くなり、レイテンシ率が低いほど、データが迅速に配信されるということです。
次のような統計を考慮してください。
- 読み込みに 2 秒の遅れがあると、離脱率は 87% に跳ね上がる。
- 2022 年、Google は読み込み時間を 0.5 秒にすることを目指している。
- 読み込みに 4 秒以上の時間がかかる Web サイトには人は戻ってこないし、その企業に対して悪い印象を抱く。
- 遅延が生じると、利用者はチェックアウトのプロセスを放棄する傾向があり、他のオンラインショップを閲覧し始める。
Megaport Cloud Router (MCR) のような仮想クラウド ルーターを使用すると、企業はクラウド オンランプの近くに設置された仮想クロス コネクト (VXC) を通じてデータを送受信することができます。そして、クラウド間のプライベート専用回線を確保し、大手プロバイダーやプラットフォーム間でデータをルーティングします。この高速で効率的なデータの流れにより、レイテンシを低減し、ネットワークのパフォーマンスをほぼ瞬時に向上させることができます。
2. スケール メリットによるコストの最適化
パンデミック発生時、多くの企業がオフサイト労働力に迅速に切り替えることを余儀なくされ、クラウド ストレージや配信のニーズが予算を圧迫しました。Flexera の『2020 年クラウドの現状レポート』では、深刻な調査結果が報告されています。回答者は、「クラウド費用の予算を平均 23% 超過しており、来年はクラウド費用が 47% 増加すると予想している」と述べ、さらに悪いことに「クラウド費用の 30% は無駄になっている」とも述べています。『Flexera 2022 年クラウドの現状レポート』で、回答者は、このようなクラウドの無駄遣いの傾向が弱まらないとしています。700 人を超える調査参加者の最優先課題は、クラウドの利用を最適化することです。その解決策として、マルチクラウドをますます利用するようになっています。
クラウドの多様化を望む声は、VMware が実施した調査にも表れています。同社の『FY22 H2 デジタル モメンタムに関するベンチマーク調査』によると、調査対象企業の 73% が 2 つのパブリック クラウドを利用、26% が 3 つ以上のクラウドを利用、参加企業の 81% が 2024 年までにマルチクラウド サービスの利用を計画しているとのことです。DevOps.com のファクンド・ナヴァロ氏は、マルチクラウド戦略を「正しく導入すれば、コストを最適化できる」と述べています。これは、変化する状況に必ずしも合致しない条件や条項があるベンダーとの契約を回避するための戦略的な方法です。その代わりに、複数のプロバイダーが提供するものの中からベストなものを使うことになります。
市場でマルチクラウド ソリューション ベンダーが増えるほど、世界規模でお互いに競合することになり、それは貴社にとってもメリットとなる可能性があります。オプションを比較検討し、「支払いの柔軟性、調整可能な契約、容量のカスタマイズ可能性」などの特徴を探すようにします。
Network as a Service (NaaS) プロバイダーの仮想クラウド ルーティング サービスは、クラウドをプライベートで相互接続し、サービスの管理と制御を 1 箇所で行うための理想的なオプションです。会社には、セキュリティのニーズ、目的、緊急性が異なるデータ ストリームがあるのではないでしょうか。相互接続されたクラウド ネットワークを採用すれば、ニーズとプロバイダーの専門性や強みに応じて、データ ストリームを異なるプロバイダー間で容易にアウトソーシングしたり、シフトしたりすることができます。例えば、Microsoft のビジネス アプリと統合するために、Azure を使用し、小売データを Google Cloud に送り、ビッグ データによって傾向を分析するといった具合です。
マルチクラウド ルーティング ソリューションは、ホップ数 (レイテンシ改善要因) を短くすることにより、クラウド間のデータ移動に関連する管理を簡素化し、コストを最適化します。さらに、クラウドを相互接続し、適切なベンダーを通じて接続を管理することで、ベンダー間で奔走したり、各契約を評価したり、大量のデータ使用でコストが膨らむ契約に縛られたりする必要がなくなります。接続をオンデマンドでスケーリングすることができ、使った分だけ支払えばいいのです。
3. ダイレクトなプライベート ピアリングによるセキュリティの強化
サイバー犯罪による情報漏えいのほか、停電、ソフトウェアやハードウェアの故障、自然災害など、企業は非常時にも災難に直面します。
しかし、プライベート クラウド間のルーティン グソリューションでは、冗長性が確保されています。つまり、データおよびアプリケーションの復旧をより迅速に、より低コストで行うことができるということです。
パブリック インターネット経由ではなく、プライベート接続でクラウドに直接接続することで、セキュリティ リスクを大幅に低減することができます。クラウド間の接続でも同様です。プライベート クラウド間ルーティングを利用することで、サイバー攻撃からデータを保護し、転送時間を短縮するとともに、冗長化インシデントを低減することができます。データが各プロバイダーに到達したら、高度なセキュリティ フィルターを通過することになります。プロバイダーは_自社_のインフラストラクチャを保護する必要があるため、そのセキュリティは最高レベルで、頻繁に更新されます。
MCR は、このレベルのネットワーク アンダーレイを提供し、企業データをデータ センターにへアピンすることなく、プロバイダーやプラットフォーム間で仮想的にルーティングします。Megaport のプライベート SDN (Software Defined Network) 上で VXC を使用してパブリック インターネットをバイパスすることにより、MCR が、パブリック クラウド、IaaS (Infrastructure as a Service)、SaaS (Software as a Service) プロバイダー間のプライベート ピアリングを可能にします。1 つのメイン接続を通じて、複数のクラウド インタラクションが舞台裏でシームレスに動作しています。
MCR により、企業はソフトウェア定義ネットワーキングが本来持つ安全な機能を大規模で利用できるようになり、セキュリティも強化されます。「安全性や信頼性の低いパブリック インターネットではなく、NaaS プロバイダーの仮想クラウド ルーターを使うことで、クラウドを安全かつ簡単に相互接続し、マルチクラウド ネットワークを容易に実現することができます」
現在、マルチクラウド ネットワークで 2~3 社のプロバイダーしか利用していない場合でも、クラウドを相互接続することで、アーキテクチャを拡張しながら何年にもわたってビジネスにメリットがもたらされます。ネットワーク パフォーマンスの向上、ネットワークの管理の容易化、データ保護の改善など、相互接続されたクラウド ネットワークは、究極的に生産性と収益性の高いビジネスを実現します。