SD-WAN がエンタープライズ ネットワークを向上させる仕組み

SD-WAN がエンタープライズ ネットワークを向上させる仕組み

SD-WAN 市場は 2025 年に 40 億米ドルを超える見込みです。ここでは、テクノロジーがどのようにエンタープライズ ネットワークの将来を支えるかを検討します。

新型コロナウイルス感染症がまん延する以前、Software-Defined Wide Area Networking (SD-WAN) 市場は成熟の兆しを見せはじめていました。今では、自宅勤務がオフィス勤務と同程度に広がったため、エンタープライズ ネットワークのニーズは変化を遂げました。従業員が世界中のどこからアクセスするかに関係なく、高速で安全な信頼性の高い接続が求められます。

9 時から 17 時までのオフィス ライフスタイルが戻る気配もなく、企業は、複数の拠点やクラウド プロバイダーにまたがり複雑で常に変化するデータ要件を処理するために、自社のネットワークを最適化する必要があります。そこで急激に台頭してきたのが SD-WAN です。Dell’Oro Group では、今後 5 年間の全世界における SD-WAN テクノロジーの売上は、年平均成長率ベースで 24% 上昇し、2025 年には 40 億米ドルを超える市場になると予測しています。

Telegeography の 2020 年度 WAN マネージャー調査」によると、調査に参加したマネージャーのおよそ 3 分の 2 は、SD-WAN を導入済み、または試験運用中/展開中と回答しました。Megaport が Cisco と共同開発した Megaport Virtual Edge (MVE) があれば、Megaport が世界中に展開する Software Defined Network (SDN) で SD-WAN コントローラーをホスティングすることで、企業は自社の SD-WAN 接続を増強できます。また、ブランチからクラウドへのオンデマンド接続を確立することで、データの転送距離を縮めることも可能です。

Megaport は、ブランチからクラウドへの接続を提供するオンデマンド NFV サービスである Megaport Virtual Edge (MVE) を発表しました。

SD-WAN の仕組みと、その導入を検討する必要がある理由について、詳しく説明します。

SD-WAN の説明

簡潔に言うと、SD-WAN はワイドエリア ネットワークに対するソフトウェア定義型アプローチです。

SDN はローカル ネットワークに限定されますが、SD-WAN はかなり広域の地理的規模で SDN を実装します。さまざまな拠点を結ぶ接続を求めている企業は、特にリモート ワークの時代では、SD-WAN ソリューションを自社のエンタープライズ ネットワークに適用することで恩恵を受けます。

SD-WAN は、ブランチ、ハブ、データ センター、ホーム オフィス、販売拠点、モバイル デバイス、コンシューマー/産業用 IoT などの複数のネットワーク エンドポイントを集中的に管理する機能を企業に提供します。SD-WAN は WAN のセットアップと管理を簡素化し、企業のネットワーク管理者が 1 つの管理コンソールを使用するだけで、ルーティング決定の適用、ビジネス ポリシーの自動化、使用状況やパフォーマンスのリアルタイムの監視ができるようにします。

最近実施された Telegeography の調査によると、MPLS 接続をよりコスト効率の高いソリューションに置き換えるニーズにより、SD-WAN の構築が促進されています。SD-WAN の採用数は伸びていますが、大企業における MPLS の使用状況は過去 3 年間で 24% も下がりました。

SD-WAN の導入により、MPLS ネットワークを最新化し、ソフトウェア定義型にすることで得られる利点の詳細については、当社のブログ記事をお読みください

利点

シンプル
従来の WAN 構築では、新しいサイトへのリンクを確立する作業は複雑で、時間がかかるものでした。SD-WAN は、ポリシー、セキュリティ、顧客の構成を顧客構内設備 (CPE) にプッシュすることで、手作業を減らし、システムおよびプロセスの管理を効率化します。さらに、SD-WAN は、1 つの管理コンソールを使うだけでネットワーク トラフィックのセグメンテーションと優先順位付けを可能にします。

管理とセキュリティ
SD-WAN では、音声、データ、ビデオ トラフィックを一元管理できるので、パス、アクセス方式、送信先をアプリケーション レベルで選択することが可能になります。これは、Software as a Service (SaaS)、クラウド、マルチクラウドの各ソリューションに最適です。単一の GUI により、迅速なセットアップと構成が可能で、統合されたワークフローがワークロードのセキュリティを保護します。

大手 SD-WAN プロバイダーは、Gartner が Secure Access Service Edge (SASE または「サッシー」) と名付けたサービスの提供を開始しました。これは、SD-WAN と、次世代ファイアウォール (NGFW) や FWaaS (Firewall as a Service) などのセキュリティ サービスを単一のプラットフォームでバンドル化するものです。

コスト効率
サイトがすべて同じ条件とは限りません。高速、低レイテンシーの光ファイバー回線が必要なサイトもあれば、低速回線で運用できるサイトもあります。SD-WAN ではトラフィックに優先順位を付けることができるため、柔軟性が高まり、コスト管理が楽になります。

これらの利点は実証済みです。Cisco の報告によれば、SD-WAN を利用することで、顧客は接続コストを 65% 削減し、ポリシーや構成変更の実装を 58% 迅速化し、予定外のダウンタイムを 94% 削減するなどの効果を得ています。

Megaport Virtual Edge (MVE) と Cisco SD-WAN を組み合わせることで、データが自社クラウドから送信されパブリック インターネットを通過する際にパブリック クラウド プロバイダーにより請求されるエグレス (送信パケット) 料金を下げることで、企業はコスト面でさらなるメリットを享受できます。

「Cisco SD-WAN 向けの 5 つのユースケース」を参照してください。

SD-WAN の導入により、広域ネットワークの管理を簡素化し、ネットワーク パフォーマンスを増強することで、リモート ワーカーはビジネスクリティカルなアプリケーションにアクセスして使用することがさらに簡単になり、企業側にもコストを削減して自社ネットワークを最新化できるというメリットがあります。

SD-WAN と Megaport の詳細については、当社のドキュメント ポータルをご覧ください。

関連記事

2022 年にマルチクラウド管理を簡素化する方法

マルチクラウド ネットワークが複雑化しても、その管理が複雑化してはなりません。ここでは、既存のツールを活用して、マルチクラウドの時間、コスト、パフォーマンスを管理する方法を紹介します。 最近の Gartner® クラウド導入調査によると、「63% の組織がプライマリ クラウド サービス プロバイダー (CSP) を持つと同時に追加のクラウド プロバイダーも利用しており、13% が 1 つのプライマリ プロバイダーを持たずに複数のプロバイダーを利用しています。この結果、76% の組織が複数のクラウド プロバイダーを利用していることになります」1 マルチクラウドが一般的になるにつれ、チーム全体で増大するコストとリソース要件を管理することが重要になるだけでなく、効果的なパフォーマンスとデータの安全性を維持するために必要な柔軟性を備えたネットワークを構築することも重要になります。では、増え続け、複雑化するインフラストラクチャを首尾よく管理するにはどうすればよいのでしょうか。 マルチクラウド管理を成功に導き、持続させる上で、最も役立つ 4 つの主要なトレンドがあります。これらのトレンドについて、管理の指針となるように事例を交えて解説していきます。

  1. API を使用してクラウド全体のプロセスを自動化する オープン API (パブリック API とも呼ばれる) は、開発者が独自のソフトウェア アプリケーションや Web サービスをカスタマイズできるようにするアプリケーション プログラミング インターフェイスです。あらゆるコンピューター プログラムを構成する一般的なルールのように、API はあるアプリケーションが他のアプリケーションとどのように通信し、相互作用できるかを規定する一連の要件です。これは、ネットワーク セキュリティを向上させる重要なツールであることも意味します。 オープン API は、マルチクラウド全体のプロセスを自動化できるため、開発者にとって大きな助けとなります。MIT の最近の研究では、複数の組織が実際に API を採用し、段階的な変革の過程の重要な部分を担っていることが示されています。顧客の期待が高まり、現実の高速道路と同様にリアルタイム システムが必要不可欠になっていますが、API の使用については、個々のネットワーク アプリケーションのメンテナンスや監視を常時必要とする既存システムを徐々に置き換える改善策を並行して構築するという考え方が背後にあります。 Megaport Terraform Provider を使用したマルチクラウドの自動化の詳細をご覧ください。 企業のマルチクラウド インフラストラクチャの場合、API によって日常業務を自動化することで、人員を解放して他のプロジェクトに充てることができます。Megaport Cloud Router (MCR) のようなクラウド間ルーターを使用している場合、API を使用して仮想クロス コネクト (VXC)、つまり 2 つのネットワーク エンドポイント間のポイントツーポイント レイヤー 2 回線を自動化することも可能です。また、API では、時間帯、トラフィック使用量、イベント駆動型のニーズに基づいて VXC データ レートまで自動化できるため、企業は容量やその容量を監視するリソースに過剰なコストをかける必要がありません。

続きを読む
AWS Direct Connect および Transit Gateway のエンタープライズ ガイド

AWS Direct Connect および Transit Gateway のエンタープライズ ガイド

AWS のネットワーク機能の理解が深まるように、Direct Connect および Transit Gateway について説明します。

続きを読む
マルチクラウド接続: 完全ガイド

マルチクラウド接続: 完全ガイド

マルチクラウドに馴染みがないと、何から始めればいいのか分からないことがあります。この完全ガイドでは、マルチクラウドの基本、ビジネスにとってのメリット、使用を開始する方法について説明します。

続きを読む